ROAとROEって何?事例をもとに詳しく解説します!
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本日はROAとROEについて解説します。
企業の総合的な収益力を判断するための指標としてよく用いられるのが【ROA】と【ROE】です。
指標を使うことで、規模の違う他社との比較や、時系列での評価などが可能になります。
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ROAとは
ROAは総資産利益率(Return on Assets)のことで、企業が所有している資産(総資産)を使ってどれだけの利益を上げているのかを示す指標です。
ROAは当期純利益÷資産合計で求めることができます。
日本の上場企業のROAの平均は約3%で、アメリカの約6%の半分程度となっています。
仮に当期純利益が9億円で、資産の合計が300億円に企業で計算するとROAは3%となります。
ROAを分解すると売上高を資産合計で割った【総資産回転率】と、当期純利益を売上高で割った【売上高当期純利益率】に分解できます。
ROAの事例
架空の2社の決算の数字で比較します。
A社のROAは13.6%、B社は14.3%でした。
どちらも近い数字ですが、総資産回転率(効率性)と売上高当期純利益率(収益性)に分解してみると、
A社の総資産回転率(効率性)が1.64に対し、B社は0.37。
A社の売上高当期純利益率(収益性)が8%に対し、B社は39%となっています。
A社は効率性の高さ、B社は収益性の高さがROAを押し上げています。
A社は在庫効率化に力を入れていることで効率性が向上、B社は生産コストを下げ利益率を高めていることが数値を押し上げている要因、
というように分解した数字から企業の事業戦略を紐解くことができます。
ROEとは
ROEは自己資本利益率(Return on Equity)のことで、株主の持ち分である自己資本がどれだけの利益を上げているかを示すものです。
ROEは当期純利益÷自己資本で求めることができます。
日本の上場企業のROEの平均は約9.8%、アメリカは約15%で大きな開きがあります。
仮に当期純利益が10億円で、自己資本の合計が100億円に企業で計算するとROEは10%となります。
ROEを分解すると売上高を資産合計で割った【総資産回転率】と当期純利益を売上高を割った【売上高当期純利益率】と資産合計を自己資本で割った【財務レバレッジ】に分けることができます。
ROEの事例
架空の2社の決算の数字で比較します。
C社のROEは16%、D社は44%でした。
2社のROEを総資産回転率、売上高当期純利益率、財務レバレッジに分解します。
C社の総資産回転率(効率性)は0.73、売上高当期純利益率(収益性)は12.2%、財務レバレッジ(安全性)は1.75です。
D社の総資産回転率(効率性)は0.69、売上高当期純利益率(収益性)は11.5%、財務レバレッジ(安全性)は5.56です。
C社のほうが効率性、収益性ともに高いですが、D社の安全性が突出しています。
D社は、借入金をテコに成長を目指すレバレッジ経営という戦略の結果が財務レバレッジの高さにつながっている、
というようにROEを分解し、要因を分析することで、その背景にある事業戦略・活動の特徴が見えてきます。
指標を見るときの注意点
ROAとROEの使い分けは、ROAで【経営者の経営手腕】を、ROEで【株主への見返りの大きさ】を把握することです。
また、ROEが高ければ全てが良いわけではありません。
銀行借り入れなどを行い、財務レバレッジを高めることで比較的容易に財務レバレッジを高めることができます。
一方で財務レバレッジが高くなると負債方となり、財務リスクが増大するので注意が必要です。
今日のまとめ
ROA・ROEの指標を使うことで規模の違う競合他社との比較や時系列での評価などが可能になります。
ROAは企業が所有している総資産を使って、どれだけの利益を上げているかを示す指標、ROEは株主の持ち分である自己資本がどれだけの利益を上げているかを示す指標です。
ROAは総資産回転率と売上高当期純利益率に分解できます。ROEは上記に加え、財務レバレッジの三つに分解でき、それぞれの指標を分析することでその背景にある事業戦略・財務戦略の特徴が見えてきます。
指標の意味を十分に理解して、企業分析に役立てていきましょう。
皆様の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!